研究課題/領域番号 |
17590098
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
田代 文夫 東京理科大学, 基礎工学部, 教授 (70089332)
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研究分担者 |
川崎 靖 東京理科大学, 基礎工学部, 助手 (60385549)
戸松 誠 秋田県総合食品研究所, 主任研究員 (40399770)
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キーワード | タラノキ / 抗腫瘍活性 / レクチン活性 / RNA N-グリコシダーゼ / ribosome inactivating protein / カルス |
研究概要 |
タラノキ(Aralia elata)より単離された抗腫瘍性タンパク質aralinは、レクチン活性を有しており、癌細胞選択的に細胞死を誘導する。本研究ではaralinの抗癌作用と細胞傷害機構の解析を行った。以下に、本年度の研究成果の概要を報告する。 1.21種の癌細胞と4種の正常細胞株に対するaralinの細胞毒性を調べ、癌細胞株では正常細胞株と比較し10倍以上IC_<50>が低いこと、マウスやラットの癌細胞よりヒトの癌細胞でIC_<50>が低いことを明らかにした。ヒト子宮頸癌HeLa細胞をヌードマウス皮下に移植し、aralinを含むタラノ芽ホモジネートを3週間経口投与し腫瘍形成能を調べた。その結果、生理食塩水を投与したコントロール群に比べ、タラノ芽ホモジネート投与群において腫瘍形成を有意に抑制することを明らかにした。 2.AralinはTypeII ribosome inactivating protein(RIP)であるnigrinやricinと相同性がある。そこで、aralinの細胞傷害機構がリボソームの傷害によるものかrRNA Depurination解析を行い、aralinがRNA N-グリコシダーゼ活性し、癌細胞にrRNAの傷害とタンパク質合成阻害を引き起こすことを明らかにした。また、aralinにより誘導される細胞死はcaspaseの阻害剤により抑制され、caspase-8の活性化、PARPの切断および小胞体ストレス応答タンパク質GRP78の発現上昇が検出された。このことから、小胞体を介したアポトーシスシグナル応答がaralin誘導細胞死に関与している可能性が示された。 3.タラノキをカルス化し、カルスからのaralin精製方法を確立した。カルスより精製したaralinは、植物体由来のタンパク質に比べて癌細胞への選択性が高く、通年で安定的にaralinを得ることが可能となった。
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