MPTPによるパーキンソン病様症状発現の3MCによる増強を、マウスを用いたポールテストで更に例数を増やして検討したところ、再現性が認められた。3MCとMPTPの同時投与により3MC単独投与での脳内Cyp1a1発現量の増加の割合は減少したが、Cyp1b1ではMPTP同時投与の影響は認められなかった。Cyp1a1、Cyp1b1の発現調節にはどちらもAhRが関与しているため、MPTPがそれぞれの分子種の発現に異なる影響を与えていることは非常に興味深い。アフリカツメガエル成体では、xAhRは雌雄ともに検討したほとんどの臓器での発現が認められた。xARNTは肝・脾・肺・心・脳・精巣に発現が認められたが、xARNT2は脳にのみ発現が認められた。更に、xAhRの発現量は未受精卵の段階から神経胚中期まではわずかであるが、神経胚後期から上昇し始め、オタマジャクシで最も高くなった。xArntも初期発生を通して比較的多量に存在していたが、xArnt2タンパクは神経胚中期までは存在せず、stage23の神経胚後期からその発現が上昇した。xAhRm RNAは、未受精卵ではほぼ全体に発現が認められたが、4細胞期から胞胚期にかけては動物半球側へのmRNAの偏在が認められた。尾芽胚初期、後期になると主に頭部・上皮・外鰓に発現が認められた。3MCの影響を検討したところ、動物半球側での発現には変化がなかったが、複数個の細胞でxAhRの核への移行が認められた。以上より、xArnt2の脳での発現や初期発生過程での発現パターンなどより、xAhRおよびxARNT関連タンパクの機能が哺乳類と共通している可能性が示唆され、哺乳類におけるAhR関連タンパクと神経変性疾患の関連の解明に向け、アフリカツメガエルでの検討から有益な情報が得られることが示された。
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