研究概要 |
1.ヒトCarboxlesterase(CES)1の遺伝子型に起因する異型タンパク質発現系の構築 本年度は主に肝臓中で発現していることが示されているCES1に焦点を絞り、アミノ酸置換を伴い、かつアリル頻度に関する情報が公開されている遺伝子一塩基多型(S75N, G188R, R199H, D203E)に起因する異型タンパク質を得る目的で、平成17年度にpENTR/D-TOPOベクターにCloningした野生型ヒトCES1cDNAに変異を導入した。 野生型及び変異型CES1cDNAを発現ベクターにSubcloningし、得られたConstructsを哺乳動物細胞HEK293細胞にTransfectionして一過性に発現させた。また、各cDNAをBaculoDirectC-termLinear DNAにSubcloningし、Sf21細胞にInfectionしてC-末His-タグ融合タンパク質として発現させ、Ni-NTA agaroseを用いて組換えタンパク質の精製を行い、目的とする野生型及び変異型ヒトCES1タンパタ質を得た。 2.ピレスロイド系殺虫剤の代謝に及ぼすヒトCESl遺伝子多型の影響 平成17年度に開発したI型ピレスロイド系殺虫剤・Permethrinの加水分解活性測定法を改良し、より精度の高い測定方法を見いだした。1.で得た各CES1組換えタンパク質を用いて、trans-permethrinの加水分解反応を速度論的に解析し、Kinetic Parametersを明らかにした。その結果、G188R変異体はtrans-permethrinに対する加水分解活性を有しないこと、また、今回検討した遺伝子多型のうち、G188R以外については、少なくともpermethrin加水分解活性に関しての機能変化を伴わないことを明らかにした。 以上の結果は、フォーラム2006:衛生薬学・環境トキシコロジー(2006年10月)、及び日本薬学会第127年会(2007年3月)にて発表した。
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