本年度は、今後一般家庭室内においても広汎に使用されることが予想される常温揮散性ピレスロイド剤・Profluthrinに着目し、解毒代謝に関与するヒトの酵素を明らかにすることを目的とした。平成17年度に遺伝子をクローニングしたヒトcarboxylesterase(CES)1、CES2およびCES3について哺乳動物細胞で高発現させて組み換えタンパク質を調製し、加水分解反応に関する検討を行った。 1)先ず、Profluthrin標準品の入手が困難であったため、市販製品より精製・抽出を行い、純度99%以上であることを確認し、分析及び酵素反応に適用可能なProfluthrinを得た。 2)Profluthrinの加水分解活性をHPLCにより定量する方法を確立した。 3)ヒトCES1、CES2、CES3組換えタンパク質を用いてProfluthrinに対する加水分解活性を測定した結果、CES1及びCES2に加水分解活性が認められたが、CES3には活性はほとんど認められないことが判明した。さらに、Profluthrinに対する加水分解活性にはCES1とCES2において著しい違いが認められ、CES1に比べてCES2のProfluthrin加水分解活性は低いことが明らかになった。本研究によって、Profluthrinの加水分解にはCES1が重要な役割を果たしていることが示唆された。 以上の結果は、フォーラム2007:衛生薬学・環境トキシコロジー(2007年11月)、及び日本薬学会第128年会(2008年3月)にて発表した。
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