研究課題/領域番号 |
17590131
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
松本 充博 熊本大学, 大学院医学薬学研究部, 助教授 (70253755)
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研究分担者 |
齋藤 秀之 熊本大学, 医学部附属病院, 教授 (40225727)
渡邊 博志 熊本大学, 薬学部, 講師 (70398220)
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キーワード | アムルビシン / アムルビシノール / P-糖蛋白質 / 細胞膜輸送 / 薬剤耐性 |
研究概要 |
代表的な薬物トランスポータとしてP-糖タンパク質(P-gp)に着目し、アムルビシン(AMR)およびアムルビシノール(AMR-OH)の細胞膜輸送におけるP-gpの関与について検討した。 1.ブタ腎由来培養上皮細胞(LLC-PK1)およびヒトP-gpを過剰発現したL-MDR1細胞を用いた殺細胞実験によりL-MDR1細胞ではAMRおよびAMR-OHに対する感受性が低下していることが明らかとなった。また、AMRおよびAMR-OHの細胞内蓄積量はL-MDR1細胞で有意な低下が観察された。一方、シクロスポリン(CyA)の併用によりL-MDR1細胞における感受性および細胞内蓄積量はLLC-PK1細胞と同程度にまで上昇した。 2.AMRおよびAMR-OHの経細胞輸送実験において、L-MDR1細胞におけるapical側への輸送亢進並びにbasal側への輸送低下が認められた。一方、CyAの併用によりL-MDR1細胞における経細胞輸送はLLC-PK1細胞と類似した挙動を示した。これらの結果から、AMRおよびAMR-OHはP-gpの基質であることが明らかとなった。 3.ヒト肺癌A549細胞を用いた検討において、A549細胞にはP-gpが発現しており、CyAの併用によるAMRおよびAMR-OH細胞内蓄積量並びに殺細胞効果の上昇が観察された。 以上の結果より、AMRおよび活性代謝物であるAMR-OHの細胞膜輸送にはP-gpが関与していることが判明した。さらに、肺癌細胞における抗腫瘍効果の面でもP-gpが一部関与している可能性が示唆された。
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