研究課題/領域番号 |
17590144
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
阪井 裕子 旭川医科大学, 医学部, 助手 (40041826)
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研究分担者 |
渡部 剛 旭川医科大学, 医学部, 教授 (80220903)
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キーワード | 下垂体前葉 / 分泌顆粒 / 脂質ラフト / 免疫組織化学 / クロモグラニン / セクレトグラニン / コレステロール / GM1ガングリオシド |
研究概要 |
「脂質ラフト(lipid rafts)」と総称されるコレステロールや糖スフィンゴ脂質に富む生体膜上の微小領域は、細胞膜や細胞内膜系で代謝や情報伝達に関わる様々な分子の足場として重要な役割を果たしている。本研究では、代表的な内分泌組織である下垂体における脂質ラフト様構造の分布・局在とその生理的役割について解析を進めている。 平成17年度までに、コレステロールと複合体を形成する行filipinで下垂体前葉組織を標識し脂質ラフト様構造の分布および細胞内局在を検討し、分泌穎粒膜が普遍的にfilipinでよく標識されることを観察した。また、同様にビオチン標識コレラトキシンBサブユニット(CTxB)で標識することによって代表的な糖スフィンゴ脂質であるGM1ガングリオシドの分布・局在も併せて検討したところ、CTxBで標識される部位は下垂体前葉では成長ホルモン産生細胞の分泌穎粒膜に限局していることを発見した。そこで平成18年度には、この細胞に対する特異的な分泌刺激因子であるGHRHをラット大腿静脈より投与して、分泌刺激後の同細胞における脂質ラフト様構造の細胞内局在の経時的変化を検討した。その結果、GHRH静脈内投与直後から、CTxBで標識される脂質ラフト様構造が分泌顆粒膜から細胞膜表面へと移行することが観察された。この所見は、コレステロールに富む脂質ラフト様構造が内分泌細胞においては外部からの分泌刺激に正しく応答する調節性分泌経路を経由して細胞膜に到達することを示唆しており、内分泌細胞におけるペプチドホルモンの選択的輸送機構を解明していく上で興味深い所見と思われた。
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