研究課題
平成18年度の研究によって化学物質(レチノイン酸: all-trans Retionic Aci ; atRA)を胎児期マウスに投与したところ、精巣に対する影響は示さないまでも、先天異常である口蓋裂を誘発し、化学物質によるエピジェネティックな影響の発生メカニズムに関する多少の知見を得ることができた。口蓋裂は遺伝的要因と環境要因とが複合的に作用している。多くの関連遺伝子や関連遺伝子やリスクファクターが報告されているが、その全容は未だに不明であり、新たな視点が必要と思われる。本研究では、新たにエピジェネティックな視点から、マウスにおける口蓋裂発生機構を検討するため、特にDNAメチル化の変化について解析を行った。C57/BL6妊娠マウスに妊娠11.5日目(GD11.5)にatRA100mg/kg経口投与し口蓋裂発現胎仔を作製した。GD13.5、14.5、15.5、18.5に胎仔二次口蓋組織を摘出し、ゲノムDNAおよびtotal RNAを抽出した。DNAメチル化の変化をシトシンエクステンション(CEA)法により解析し、DNAメチル化および脱メチル化の有無をRestriction Landmark Genomic Scanning (RLGS)法RLGS法により解析した。また、real-time RT-PCR法によりDNAメチルトランスフェラーゼDnmts (Dnmt 1、3a、3b)のmRNAの発現状況を解析した。CEA法により、口蓋裂マウスにおいては、対照群と比較してGD13.5、14.5においてゲノム全体とCpGアイランドにおいてDNAメチル化率が有意に増加していた。また、RLGS法よりDNAメチル化の変化には、DNAメチル化と脱メチル化の双方が関与していた。なお、Dnmtsの発現には有意差は見られなかった。本研究の成果から、atRA曝露によるマウス口蓋裂発現では、二次口蓋組織のDNAメチル化の変化による遺伝子発現の変化が関与していることが示唆された。
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(Submitted)