研究課題/領域番号 |
17590150
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
豊田 二美枝 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (60009751)
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研究分担者 |
伊藤 千鶴 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助手 (80347054)
前川 眞見子 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助手 (20181571)
外山 芳郎 千葉大学, 大学院・医学研究院, 講師 (70009637)
年森 清隆 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (20094097)
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キーワード | 精子成熟 / 異形精子 / GOPC欠損マウス / 電子顕微鏡 / Coiled tail |
研究概要 |
【目的】GOPC (Golgi-associated PDZ-and coiled-coil motif-containing protein)は造精細胞ゴルジ装置に局在し、物質輸送に関与するとされる。GOPC^<-/->精子は、球状核に尾部が巻き付くcoiled tailを発症する。今回発症機構解明を試みた。 【方法】GOIPC^<-/->成熟マウス4匹の精巣上体5カ所((1)近位頭部、(2)頭部中央、(3)遠位頭部、(4)体部、(5)尾部)の精子を切片法で電顕観察し、統計学的に解析した。 【結果と考察】(1)の精子では球状核周囲に細胞質が大量に残存し、後輪形成不全部を通じて頸部の細胞質小滴と連続していた。この異常が後に精子尾部が頭部に侵入して核周囲に巻き付く基礎をなす。(1)では尾部は一見正常であったが(2)〜(5)ではcoiled tailを発症していた。Coilingの程度の指標として、核周囲細胞質内の尾部断面数を調べた。統計的解析によると、野生型で細胞質小滴移動が進行する精巣上体頭部が発症の中心部位である。これらの結果からCoiled tail発症には次の機構が考えられた。通常ゾル状の細胞質小滴は中片を中心として移動する。しかし、GOPC^<-/->精子では、核が移動に巻き込まれて傾斜するとconnecting pieceがimplantation fossaから外れて頸部が折れ、核は中片に接する。細胞質が核側に集合する結果、中片は押しやられて偏心し、細胞膜に接する。細胞質の移動がさらに末端側進むと、中片は核の周囲に巻き付きCoiled tailが完成する。小滴移動が止まる中片末端のannulusでcoiled tailが高頻度に中断するのも小滴移動との関連を裏付ける。精巣上体精子は静止しているので、この巻き付きに尾部の運動は関与しない。むしろ球状の核を含む残留細胞質の塊に突出した尾部が引き込まれると見られる。従って表面張力がcoiled tail形成の少なくとも一部の原動力と考えられる。
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