1.約30年にわたって、弘前大学、新潟大学、富山医科薬科大学、ヴュルツブルグ大学などの解剖学実習遺体で遭遇し、B4判(時にA4、A3)のケント紙に自ら記録した線描図を、部位別に整理し、医歯学並びにコ・メディカルの解剖学及び解剖学実習、臨床実習、卒後研修さらには臨床現場で必要と思われる各種の変異・破格例等を選別した。部位別(主な変異・疾病など)では、体幹前面(舌骨下筋群の変異・各種ヘルニア)80枚、体幹後面(頚肋・浅背筋の変異)24枚、上肢(腕神経叢の変異・浅上腕及び浅前腕動脈)269枚、下肢(仙骨神経叢の梨状筋貫通・坐骨動脈・浅足背動脈)162枚、胸部内臓(奇静脈葉・G型大動脈弓・肺外分画症)78枚、腹部内臓(馬蹄鉄腎・右傍十二指腸ヘルニア・輪状膵・腎血管の異常)145枚、骨盤及び骨盤内臓(低形成腎と双角子宮・死冠)41枚、後胸壁と後腹壁(腰神経叢の変異・椎骨動脈の変異)38枚、頭部と頚部(顎動脈の変異、顎舌骨筋神経の皮枝)6枚、完全内臓逆位の33枚の、合計876枚を選んだ。全体の3/4は、まだ下絵の状態に止まるものの、残り1/4では、図は清書され、ラテン名称を付記し、欄外には破格の所見が要約される。 2.上記の線描図は、部位別に、線描の部位・方向、タイトル、図譜番号(性別と左右、連番を明記)、線描図の状態(下絵か完成か)、図の重要性、備考(合併所見)をPCに入力・保存し、破格・変異・疾病の一覧表を作成した。 3.平成17年度の保健学科の人体形態学実習(6体を利用)では、腹腔動脈の起始異常、菱形筋の二重神経支配、副腓骨筋、甲状腺動脈間の吻合の、合計6枚の線描図を完成・着色した。これらの線描図は、平成18年3月末に北里大学相模原キャンパスで開催される第111回日本解剖学会総会・全国学術集会で発表する。
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