研究課題
基盤研究(C)
1)ラット舌下腺に発現する新規蛋白質:ラットの舌下腺に特異的に発現する遺伝子をクローニングし、その産物への抗体を作成した。この蛋白質は動物L型レクチンの一種であるヒトERGLとホモロジーを有する膜蛋白質であり、Sublingual acinar membrane protein(SLAMP)と名付けた。SLAMPは舌下腺の腺房細胞において主に小胞体-ゴルジ中間区画(ERGIC)の膜に局在し、粘液成分の形成や愉送、分泌に関与することが示唆された(論文1)。2)短期間、低予算でのラットポリクローナル抗体作成法の開発:抗原蛋白質のcDNAの一部を合成し、細菌に導入してオリゴペプチドを産生させ、これをラット足蹠に注射し、約3週間で抗血清を得る方法を開発した。マウスのERGIC-53は、小胞体からERGICへの小胞性輸送に関与する膜蛋白質である。今回の方法でつくった抗ERGIC-53ラット抗体によりマウス舌下腺細胞のERGICが染色されることから、SLAMPの役割が推測された(論文2)。3)アンドロゲンにより発現を抑制される顎下腺の新規蛋白質:遺伝子サブトラクション法により、新規の顎下腺蛋白質の遺伝子を同定した。この蛋白質のmRNA発現は顎下腺では雄より雌で36倍高く、逆に涙腺では雌より雄で28倍高かった。また精巣切除マウスや雌マウスにアンドロゲンを投与すると、顎下腺では顕著に発現が抑制され、逆に涙腺では顕著に促進されたため、この蛋白質をSubmandibular androglen-repressed protein(SMARP)と名づけた。SMARPのmRNAと蛋白質は顎下腺および涙腺の腺房細胞に局在した。異なる器官でアンドロゲンにより反対の発現制御を受ける遺伝子は、アンドロゲンによる遺伝子発現制御機構の解明に寄与すると思われた(論文3)。
すべて 2007 2006 2005 その他
すべて 雑誌論文 (6件)
Arch. Oral Biol. (in press)
Acta Histochem. Cytochem. 39
ページ: 79-87
J. Histochem. Cytochem. 53
ページ: 1335-1343
Arch. Oral Biol. (印刷中)