研究課題
平成18年度の研究は、前年度をこ確立されたマウスES細胞から腸管様構造を安定して作成する実験系を用いて平滑筋組織の発生に関する研究を行った。まず、Bone morphogenetic protein(BMP)とそのレセプターが胎児腸管発生期にどのような発現パターンを示すかについて検索した。その結果、胎生中期、内輪走筋層に将来筋層が分化するあたりにBMPシグナル系が強く発現していることから、BMPを吸着したビーズを腸管様構造の近傍に装着する実験発生学的研究を行った。その結果、平滑筋発生に関わる転写因子が活性化され、自動運動をともなった発達した筋層が形成された。特にBMP2の作用が顕著であった。また、その直後の外縦走筋層が形成される時期に一過性にPlatelet derived growth factor(PDGF)レセプターが発現し、これを抑制すると外縦走筋層の形成が阻害された。以上より研究の遅れていた平滑筋層でBMPやPDGFが発生に関与することが明らかになった。これらの成果は現在論文投稿中もしくは論文準備中である。一方、研究分担者は、Adenomatous polyposis coli(Apc)遺伝子の研究を行った。APCはβ-cateninと結合してWntシグナルを制御していやことが知られているが、研究分担者らによってこのほかに多様な機能を持つことが明らかにされた。その内容を論文にまとめて発表した。
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