研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、マウスES細胞から形成される腸管様構造を用いて、in vitroで消化管の発生に関する研究を行い、これまで哺乳類の消化管発生の研究では困難であった実験発生学的手法を用い解析を進めることにあった。平成17年度では、腸管様構造をin vitroで安定して形成させる系を開発した。その結果、マウスES細胞をHanging drop法にて胚様体形成後、二次元培養に移すことで安定して成熟した腸管様構造を形成させることが可能になった。さらに腸管様構造の形成過程は形態学的にも、遺伝子発現の面でもマウス胎児の消化管発生を踏襲ことがわかった。また、腸管様構造をマウス腎皮膜下に移植したところ、長期にわたり形態を維持し、未分化ES細胞を移植した場合に形成されるteratoma(奇形腫)は認められなかった。以後腸管様構造を移植実験に用いることが可能になった。平成18年度では腸管様構造を用いて腸管の平滑筋組織の発生に関する研究を行った。まず、Bone morphogenetic protein(BMP)を吸着したビーズを腸管様構造の近傍に装着したところ、平滑筋発生に関わる転写因子が活性化され、自動運動をともなった発達した筋層が形成された。特にBMP2の作用が顕著であった。また、外縦走筋層が形成される時期に一過性にPlatelet derived growth factor(PDGF)レセプターが発現し、これを抑制すると外縦走筋層の形成が阻害された。これらの成果は現在論文投稿中もしくは論文準備中である。研究分担者は、Adenomatous polyposis coli(Apc)遺伝子の研究を行った。APCはβ-cateninと結合してWntシグナルを制御していることが知られているが、研究分担者らによってこのほかに多様な機能を持つことが明らかにされた。その内容を論文にまとめて発表した。
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