研究課題/領域番号 |
17590161
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
出沢 真理 京都大学, 医学研究科, 助教授 (50272323)
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研究分担者 |
星野 幹雄 京都大学, 医学研究科, 助手 (70301273)
菅野 洋 横浜市立大学, 医学研究科, 助教授 (40244496)
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キーワード | 分化転換 / 間葉系幹細胞 / 神経誘導 / 骨格筋幹細胞 / パーキンソン病 / 筋ジストロフィー |
研究概要 |
骨髄間葉系細胞は患者本人から採取可能であり、細胞数確保が容易である。本研究ではヒト骨髄間葉系細胞から神経細胞、骨格筋細胞を選択的に誘導するシステムを確立した。個体の発生・分化を制御することで知られているNotch 1細胞質ドメインの遺伝子導入とサイトカイン刺激の組み合わせによって、極めて高い効率で機能的な神経細胞を誘導する方法を見い出した。この系ではグリア細胞の混在が無く神経細胞が特異的に誘導される。これらの細胞をラット脳虚血モデルに移植したところ、海馬への生着と記憶学習の改善が見られた。これらの神経細胞はGDNFを添加することによってドーパミン産生細胞に誘導され、パーキンソン病モデルラットへの移植において、異常行動の改善と脳内でのドーパミン産生が認められた。神経細胞の誘導方法を逆転させると、90%の効率で骨格筋を特異的に誘導される。誘導された細胞群は(1)筋衛星細胞(骨格筋幹細胞)(2)筋芽細胞(3)成熟筋管細胞、から構成されていた。ヒト骨髄間葉系細胞から誘導された筋衛星細胞と筋芽細胞を筋ジストロフィーモデルであるmdx-nudeマウスに移植すると生着し正常dystrophinを発現すること、さらに筋衛星細胞は一旦移植すれば筋変性に対して繰り返し再生に寄与することが分かった。このことは日々変性が起きている筋ジストロフィーにおいて大きな利点となる。 Notchは神経発生ではグリア誘導に働き神経発生を抑制すること,また骨格筋発生においては筋芽細胞の分化を抑制することが報告されていることから、本結果のNotchの作用は逆の作用のように見受けられる。一般にNotchの下流でHes 1/5が機能し、細胞分化を抑制していると考えられているが、本システムではHes 1/5が誘導されておらず、またNotchの機能の代償も見られなかった。この違いはNotch刺激に対する細胞内環境の違いによっていると推定され、おそらく、骨髄間質細胞には発生過程の細胞とは異なる特有のシステムが存在することを示唆している。
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