【平成18年度に行った研究の概要】 1.ノックアウトマウスの脳の追加試料作製と追加実験 平成17年度に行った実験結果の補足と実験結果の確認のため、海外研究協力者のK.パーカー氏より新たにノックアウトマウスの提供を受け、解析に必要な固定、パラフィン包埋を行い、試料を作製した。HE染色とSF-1の抗体を用いた免疫染色により視床下部腹内側核の構造とSF-1の発現変化を調べ、フェノタイプの確認を行った。 2.関連因子発現の解析 追加試料について、肥満、情動、性分化に関わる因子について、免疫組織化学法とin situハイブリダイゼーション法を用いて視床下部腹内側核における発現変化を調べた。 3.研究のまとめと発表 得られた結果について、海外研究協力者のK.パーカー氏の研究グループとのディスカッションを行なった。 【結果】 1.追加補足試料について、胎生期及び生後発達過程の各段階において、組織学的解析と免疫組織化学法によりノックアウトマウスの視床下部腹内側核の構造異常とSF-1の発現低下を確認できた。 2.胎生期及び生後発達過程の各段階において、肥満、情動に関連する因子として脳由来成長因子(BDNF)、レプチンレセプター、メラノコルチン3レセプター、タビー、コルチコトロピンレセプター、セレベリンの各抗体を用いた免疫組織化学法或いは35Sでラベルしたプローブを用いたin situハイブリダイゼーション法を行った結果、BDNF、レプチンレセプター、タビー、コルチコトロピンレセプター、セレベリンのそれぞれについてタンパクレベルまたは遺伝子レベルでの発現が、ノックアウトマウスの視床下部腹内側核において低下していることを確認した。また、性分化に関連するエストロゲンレセプターαの発現の低下についても確認できた。 3.これまでの研究成果をまとめ、学会発表及び論文投稿を行った。
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