研究課題/領域番号 |
17590172
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
山門 誠 自治医科大学, 医学部, 研究員 (80010114)
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研究分担者 |
池田 啓子 自治医科大学, 医学部, 助教授 (10265241)
川上 潔 自治医科大学, 医学部, 教授 (10161283)
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キーワード | Six1 / Six4 / Neurogenin / Sox10 / アポトーシス / 鰓弓神経 / プラコード / 神経堤 |
研究概要 |
Six遺伝子はホメオボックス遺伝子ファミリーで、転写因子をコードする。Six1は、発生段階に出現するプラコードのマーカーとして知られ、Six1およびSix4は三叉神経節プラコードと上鰓プラコードと神経堤に発現している。Six1とSix4の両遺伝子欠損ホモマウス(Six1^<-/->/Six4^<-/->)では鰓弓と脳神経節に低形成が認められ、プラコードのみならず神経堤の発生・分化に異常をきたしていた。鰓弓神経系の感覚神経成分について、neurofilament、 Neurogenin、 Sox10、TUNNEL、Phox2bの発現を解析した。プラコード細胞のマーカーであるNeurogenin1(三叉神経節)およびNeurogenin2(上鰓神経節)の発現は、これらの遺伝子が最初に発現する時期(胎生9.0日)から低下していた。神経堤細胞のマーカーであるSox10は、胎生8.5日では野生型と比較して発現に変化は観察されなかったが、胎生10.5日では著明に低下していることを観察した。さらに三叉神経節では、胎生10.5日にホモマウス特異的に神経堤由来の細胞群に変性像が観察された。プラコード由来の細胞群は野生型でもアポトーシスが観察されるが、ホモマウスではアポトーシスのピークの時期が後期にずれ、アポトーシス細胞数も上昇していた。結果として胎生11.5日の三叉神経節のサイズは極度に低下していた。また、顔面神経節では、神経堤由来の細胞群の集団が低下し、プラコード由来の細胞群は表皮内で神経細胞に分化するが脱上皮化をせず、アポトーシスも亢進し、結果として顔面神経節は形成されていなかった。舌咽神経成分では迷走神経成分と一部融合し神経節と神経束の低形成が起こっていた。これに対し、迷走神経は比較的幅広い線維束を作り下神経節は複数の小神経節に分散する傾向を示した。以上の結果から、Six1とSix4は、プラコードの神経細胞への分化を制御し、神経堤由来細胞の分化制御をし、結果として末梢グリアへの分化を制御していること、種々の脳神経節の形成に重要な役割を果たすことが示唆された。
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