B6C3F1マウス(♂)の大腿骨、脛骨から骨髄細胞を採取し、間葉系幹細胞を選択的に培養した。それら間葉系幹細胞にEGFP由来の緑色発光(CAG promoterにより制御)遺伝子とDsRed2由来の赤色発光(Ksp-cadherin promoterにより制御)遺伝子をNucleofector【○!R】 IIを用いてElectroporation法にて共遺伝子導入した。遺伝子導入後、G418存在下に細胞を選別し、EGFP発光を蛍光顕徴鏡、免疫染色などで確認した後、培養に付し、1-2週間ほど増殖させた。 マウス由来遺伝子導入骨髄間葉系幹細胞を受け入れるrecipientとして、成体B6C3F1マウス(♀)を用いた。これらマウスにCisplatin(12.7mg/kg ip)腹腔内投与し、急性腎不全モデルマウスを実験的に作製した。因みに、この腎疾患モデルマウスは、一時的に特有の腎病態を示すが、時間の経過に伴い、正常な状態へ回復する。その回復過程で腎構成細胞の前駆細胞から修復が行われるのか、血中の骨髄間葉系幹細胞が腎構成細胞へ分化し、修復が行われるのか、いずれか、あるいは双方と予想される。 急性腎不全マウスに共遺伝子導入骨髄細胞を移植し、2、4、0、8週後にrecipientマウスの腎臓を採取し、蛍光顕徴鏡学的、組織学的(H-E染色、PAS染色)免疫学的(EGFP、DsRed2、尿細管細胞のマーカーであるKsp-cadherin抗体による免疫化学的染色)な解析を行った。移植後2週目には、骨髄細胞移植による腎障害の組織学的な改善は観られ、尿細管にはEGFPあるいはKsp-cadherinとDsRed2、両方染まった細胞が幾つか観察され、移植後4週目以後には両方染まった細胞数が徐々に増加する傾向が見られた。しかし、自家発光や抗体の交差反応の可能性は除外できず、In situ hybridizationや遺伝子学的解析を行っている。
|