1.インドメタシンに代表される抗炎症薬の動脈管収縮作用機序はシクロオキシゲナーゼ活性阻害によるプロスタグランジン(PG)E_2合成阻害と考えられていることから、ジクワットが血漿中PGE_2濃度に及ぼす影響を検討した。妊娠21日のラットにジクワットを7mg/kgの用量で皮下投与し、その3時間後の母体および胎子の血漿中PGE_2濃度を測定した。その結果、ジクワット投与後の母体および胎子血漿中PGE_2濃度に変化は認められなかった。従って、ジクワットの動脈管収縮機序はインドメタシンに代表される抗炎症薬における収縮作用機序とは異なることが示唆された。 2.ジクワットの動脈管収縮作用機序におけるエンドセリン(ET)の関与の有無を明らかにするために、非選択的ET受容体拮抗薬(TAK-044)を用いてEr受容体を非選択的に遮断した状態でジクワットを投与し、その後の胎子動脈管の変化を観察した。その結果、TAK-044 0.5mgを胎子に皮下投与しておくと、ジクワット7mg/kg母体皮下投与による胎子動脈管の収縮が阻害された。従って、ジクワットの動脈管収縮作用機序にETが関与していることが示唆された。 3.ET受容体にはET_AおよびET_Bという2種類のサブタイプが存在する。ジクワットの動脈管収縮機構にET_AとET_Bのどちらのサブタイプが関与しているかを明らかにする目的で、選択的ET_A受容体拮抗薬(BQ-123)を用いて、ET_A受容体を選択的に遮断した状態でジクワットを投与しその後の胎子動脈管の変化を観察した。その結果、BQ-123 0.2mgを胎子に皮下投与しておくと、ジクワット7mg/kg母体皮下投与による胎子動脈管の収縮が阻害された。従って、ジクワットの動脈管収縮作用機序にETA受容体が関与していることが示唆された。
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