腹膜は、腹壁の内張をしている壁側腹膜と、内臓を包む臓側腹膜に分けられるが、壁側腹膜について研究を行った。 SDラットを灌流固定後、腹壁から壁側腹膜をはがし、伸展標本とし、抗PGP9.5抗体で神経線維を染色した。 腹膜直下を走る神経線維およびその神経終末が観察された。これをSpurr樹脂に平板包埋し、神経線維、神経終末のある部位を切り出し、超薄切片を作成して電子顕微鏡で観察した。 太い神経線維の束の中では、有髄繊維と無髄繊維とが共に走っているのが観察されたが、終末近くになると、有髄繊維は観察されず、無髄繊維のみであった。一本の繊維束から、半径1ミリ程度に広がる線維網が形成されていた。神経終末は、腹膜表面のコラーゲン繊維に混ざって走っており、まさに、腹膜腔にまで達している像が観察された。
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