研究課題
L型Caチャネルの調節は複雑多岐であり、分子レベルでの調節機構やそれらの相互作用については未だに不明の部分が多い。申請者らは、Caチャネル研究の進展にはチャネル活動のrundown現象を克服する必要があると考え研究を進めた結果、rundown現象が細胞内蛋白因子とATPの喪失に起因することをつきとめた。その蛋白因子は、当初プロテアーゼ阻害蛋白カルパスタチンであると考えられたが、最近カルモジュリン(CaM)であることが判明した。CaMについては、チャネルの不活性化や促通(facilitation)にも関与することが報告されているので、チャネルの調節について複雑な作用を持つことが示唆された。そこで本研究では、CaMのL型Caチャネルに対する調節作用について分子レベルで解明することを目的とし、前年度はCaMのチャネルにおける結合部位の同定、同結合に対するCaやリン酸化の影響などを検討した。今年度は、CaMのチャネル調節作用の数式モデル化を中心に検討した。その結果、1)CaMは低中濃度ではチャネルに促通的に、高濃度では抑制的に作用して濃度-効果曲線がベル型を示すこと、2)そのベル型曲線はCa濃度が増加すると、左方すなわち低濃度側にシフトすること、3)CaM以外の部位(おそらくチャネル本体)に低親和性のCa結合部位が存在し、第二のCa依存性不活性化機構を担っていること、が明らかになった。
すべて 2006
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Acta Neurol Scand. 113,3
ページ: 185-188
Biochem Biophys Res Commun. 348,1
ページ: 288-294