研究課題/領域番号 |
17590191
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
新里 直美 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教授 (00237645)
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研究分担者 |
丸中 良典 京都府立医科大学, 医学研究科, 教授 (00127036)
宮崎 裕明 京都府立医科大学, 医学研究科, 助手 (30360027)
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キーワード | Src family kinase / クロライド / Na^+ 再吸収 / ENaC / 浸透圧 |
研究概要 |
腎遠位尿細管上皮組織でのNa+再吸収は血圧調節や体液量維持にとって重要な機能であり、血漿浸圧やホルモンによって厳密に制御されている。Na+再吸収は、上皮型ナトリウムチャネル(epithelial Na+ channel;ENaC)を介するNa^+の流入過程とNa^+/K^+ ATPaseを介するNa^+の排出過程から構成され、ENaCやNa^+K^+ ATPaseの発現及び活性制御を介してその調節が行われている。我々は、遠位尿細管培養細胞での低浸透圧刺激は、短期的にはチロシンリン酸化依存的にENaCの細胞内局在を変化させてNa^+再吸収を亢進し、長期的にはENaCの遺伝子発現を増大させてNa^+再吸収を亢進することを明らかにした。また、ENaC遺伝子発現メカニズムとして細胞内クロライド濃度([Cl^-]_c)が重要な役割を担っていることを示唆した。しかし、依然として浸透圧変化を感受するメカニズムやENaCの遺伝子発現制御は十分に理解されてない。そこで、「低浸透圧刺激は、細胞容積変化を介して[Cl^-]_cというシグナルへ転換され、センサー分子としてSrc family kinaseがその変化を感受して細胞応答であるENaC遺伝子発現を増大する」という研究仮説に基づき、研究を行った。その結果、センサー分子と考えているSrcfamily kinaseは、活性化に関与する416チロシン残基がクロライド濃度依存的に自己リン酸化され、不活性化に関与する527チロシン残基のリン酸化はクロライド依存性がなく、活性制御がなされていることが判明した。また、低浸透圧刺激によるENaCの遺伝子発現制御にもクロライド濃度依存的なSrc family kinaseが関与していることを示唆する実験結果も得ている。
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