研究課題/領域番号 |
17590193
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
松尾 理 近畿大学, 医学部, 教授 (40030879)
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研究分担者 |
上嶋 繁 近畿大学, 農学部, 教授 (30193791)
岡田 清孝 近畿大学, 医学部, 講師 (20185432)
河尾 直之 近畿大学, 医学部, 助手 (70388510)
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キーワード | バイオテクノロジー / 血管新生 / 蛋白分解活性 / 遺伝子発現調節 / t-PA / t-PAR系 |
研究概要 |
tissue-type plasminogen activator(t-PA)レセプター(t-PA receptor ; t-PAR)を血管内皮細胞より単離、精製した。t-PARはt-PAと特異的に結合し、これまでに報告されているAnnexin IIおよびα-enolaseといったt-PA結合タンパクとはプラスミノーゲンとの結合性において異なっていた。また、t-PA/t-PAR複合体を形成することも確認した。さらに、GST(glutathione S-transferase)発現ベクターにt-PARをコードするcDNA断片を組込み、GSTとの融合タンパクとしてrecombinant t-PAR(rt-PAR)を発現させた。rt-PARとt-PAの相互作用もリガンドブロットにより確認してた。 IAsysを用いた相互作用解析では、t-PAと内皮細胞の結合シグナルは細胞濃度依存的に増加することが示された。したがって、t-PARは内皮細胞表面にt-PAを局在させることによってプラスミノーゲンの活性化を促進し、細胞周辺の酵素活性制御に関与していると考えられた。 以上の成果をさらに発展させるため、血管内皮細胞膜表面上にt-PARを過剰発現させることによりその機能解析を行った。t-PARをコードするcDNAを発現ベクターpDisplay(Invitrogen)にサブクローニングした。このベクターは細胞膜表面にタンパク質を発現させることができるようN末端にマウスIg κ-chain leader sequence、C末端にplatelet derived growth factor receptor receptor(PDGFR) transmembrane domainが結合している。血管内皮細胞へのトランスフェクションにはLipofectamine2000(Invitrogen)を使用し、t-PARを過剰発現させた内皮細胞はGeneticinを含む培地で3週間選択培養を行った。Geneticin耐性細胞では、PCRおよびwestern blotによりDNAおよびタンパクレベルでt-PARの発現が確認された。今後、t-PAR過剰発現細胞の機能解析を行うとともにsiRNAを用いたt-PAR発現抑制細胞を作製し、t-PARの細胞表面上での機能を解析していく。
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