研究課題
基盤研究(C)
1.心筋Naチャネルを用いた研究3型遺伝性QT延長症候群(LQT3)におけるQT延長は、心筋Naチャネルの不活性化障害に起因する遅延Na電流により生じる。LQT3患者における突然死や致死性不整脈め発症は、安静時や就寝中など徐脈時に生じやすいことが疫学的研究で示されており、ペーシングにより心拍数を増加させると著明にQT時間が短縮する。しかしながら、なぜ不整脈発作が徐脈時に生じるのかという内因性のメカニズムについては明らかでない。本研究では、この表現形としての特徴が変異イオンチャネルによってもたらされる異常Na電流の内因性のメカニズムによって説明できるかどうかについて、3型QT延長症候群を用いて検討した。心筋Naチャネルに異常を来たす3型遺伝性QT延長症候群(R1623Q)では、表現形としての臨床症状や致死性不整脈の発症様式を説明しうる内因性のイオンチャネルメカニズムが存在することが明らかになった。2.心筋HERGチャネルを用いた研究薬剤性QT延長症候群の機序としては、遅延整流性カリウム電流(hERG電流)の直接抑制が主因とされているが、最近hERGチャネル蛋白の輸送異常(trafficking defect)も新しい機序として報告されている。本研究では、致死性不整脈の発症に関わるイオンチャンネルの内因性メカニズムの解明するために、薬剤性QT延長症候群が報告されているケトコナゾールを用いて、hERG電流の直接抑制(急性作用)とhERGチャネル蛋白の輸送異常(慢性作用)が併存するかどうかについて検討した。後天性QT延長症候群の大部分は、心筋HERGチャネルの抑制によってもたらされるが、これには薬剤によるイオンチャネルの直接抑制のみでなく、チャネル蛋白の輸送異常が内因性のメカニズムとして存在することが明らかになった。
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