研究課題
本研究の目的は、周期的な身体運動の概日振動体に対する作用機序を明らかにするとともに、身体運動の作用が光の作用と同じく位相依存性を示すか否か、また身体運動の強度と同調作用に相関があるか否かを明らかにすることにある。健康成人男子15名を対象として、対照群(7名)と運動群(8名)に分けた。実験開始2週間、日常生活における行動リズムを、アクチラムを用いて測定した。また、1週間前には、血中メラトニンリズムを測定し、リズム位相を確認した。被験者は隔離実験室で7日間、昼夜変化から隔離されて単独生活した。第1日目に24時間連続採血を行い、血中メラトニンリズムの初期位相を決め、3日目から6日目までの4日問、日中に2時間の自転車エルゴメーターによる身体運動を負荷した。実験6日目から7日目にかけて、リズム位相を推定するために、再び24時間連続採血を行い、血中メラトニンリズムを測定した。そのほか、深部体温リズムを実験期間通して測定し、また睡眠脳波を採血の無い日に測定した。その結果、対照群、運動群ともに、血中メラトニンリズムの頂値位相、上昇位相に有意な位相後退が認められたが、下降位相については有意な位相変化は認められなかった。位相後退の程度には両群で差はなかった。リズム振幅には変化は見られなかった。運動を負荷した位相は、血中メラトニントンリズムの頂値位相の12-17時間後であった。本実験の結果で、対照群と運動群との間に有意な差が認められなかったことから、身体運動を行った位相は、Cross-over pointに相当する時間帯であることが推測された。本実験は、身体運動のリズム同調促進効果が睡眠覚醒リズムへの作用を介している可能性を検討するための内的脱同調パラダイム実験へ向けた基礎実験としての位置づけである。今後、位相前進した睡眠覚醒スケジュールへの再同調を促進する身体運動条件について検証していく。
すべて 2006 2005
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Exercise, Nutrition, and Environmental Stress. 4
ページ: 1-17
Biological Rhythms,
ページ: 153-170