研究課題/領域番号 |
17590202
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
森本 恵子 奈良女子大学, 生活環境学部, 教授 (30220081)
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研究分担者 |
鷹股 亮 奈良女子大学, 生活環境学部, 助教授 (00264755)
上山 敬司 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教授 (50264875)
木村 博子 順天堂大学, 医学部, 講師 (00053299)
吉田 謙一 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40166947)
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キーワード | 精神性ストレス / 卵巣摘出ラット / エストロゲン / エストロゲン受容体 / カテコラミン / 一酸化窒素産生ニューロン / 脳 / 視床下部室傍核 |
研究概要 |
本年度は、エストロゲンが精神性ストレス負荷時の昇圧反応を緩和する作用機序のひとつである考えられる、中枢神経系を介したメカニズムについて卵巣摘出ラットを用いて検討した。c-Fosタンパク質を神経細胞活性の指標とし、各脳部位におけるケージ交換(CS)ストレスの影響とそれに対するエストロゲン補充の影響を免疫組織化学法を用いて測定するとともに、エストロゲン受容体αの染色を行ないエストロゲン作用部位を検討した。また、c-FosとTyrosine hydroxylase(TH)の二重染色により、カテコラミン作動性ニューロンのストレス反応における関与を調べた。さらにエストロゲンの中枢作用が脳内のNO産生ニューロンを介した作用である可能性についても検討を加えた。 (1)エストロゲンは青斑核カテコラミン作動性神経細胞のCSストレスによる活性化を抑制した 卵巣摘出後プラセボ補充群と卵巣摘出後エストロゲン補充群においてCSによるマイルドな精神的ストレス負荷実験を行なった。下位脳幹の青斑核、孤束核、尾側延髄腹外側核ではTH陽性細胞におけるc-Fos陽性細胞の割合(二重標識率)がストレスによって有意に増加した。このうち、青斑核ではエストロゲン補充によってストレスによる二重標識率の増加が抑制された。同部位では、エストロゲン受容体αの存在が免疫染色で確認でき、エストロゲンの直接作用の可能性が示唆された。 (2)エストロゲン補充は視床下部室傍核小細胞領域NO産生ニューロンのCSストレスによる活性化を促進した (1)と同様の別の2群を用い、NADPH-diaphorase染色によりNO産生ニューロンを同定した。CSストレスにより視床下部室傍核小細胞領域ではNADPH-diaphorase陽性細胞におけるc-Fos陽性細胞の割合が有意に増加した。さらに、その増加はエストロゲン補充によって亢進していた。
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