本申請は、ラットを使い、運動制御に関連する脳神経活動を多点測定し、自発運動時と睡眠レム期の脳神経活動、交感神経活動および循環反応を比較することにより、セントラルコマンドの実体解明を試みるものである。運動時の交感神経活動および循環動態反応に、上位中枢の神経活動(セントラルコマンド)がどのような役割をはたすのか?この疑問に答えるために、ラット自由行動下の運動性皮質神経活動、腎・腰部交感神経活動、筋電図、循環動態を同時測定し、その入出力関係からセントラルコマンドの実体解明を試みる。 平成17年度は脳神経活動のマルチニューロン同時計測方法の導入を中心に下記の2点を検討した。 1.Micro-wire arrays電極作成、改良、検討; 改良・検討点は、1)ノイズレベルの減少させる(電極とコネクター接合法の検討、低雑音ヘッドアンプの改良)。Plexon社製のプレアンプをバッテリー駆動型に改良し、交流電源ノイズの遮断を試みた。また、ノイズ対策のために、鉄板プレートの設置を行い、ノイズ・シグナル比の改良を行った。結果、神経活動計測のための一般的な諸問題の解決が出来た。 2)電極形状の検討;長さ、幅等(ステンレススティール用いる)。50μm径のステンレススティール電極の8極の多点計測電極を作成した。また、50mm径のタングステン電極を現在作成検討中である。数マイクロオーダーでの電極の結合をおこなう、特殊な作業であり、導電性の接着剤等を用い、実体顕微鏡を使用した作業に習熟した。現在、種種の工夫を加え、目的にあったカスタム電極の作成が可能になった。 2.手術方法、計測、解析方法の検討; ウイスター系ラットを用い、海馬CA1領域へMicro-wire arrays電極を慢性留置を試みた。現在、麻酔下での計測方法を検討中である。生体側へのアース点の配置方法、電極挿入のスピード、電極の位置、など解決すべき点が多い。また、フィールドポテンシャルの同時計測を行い、脳波シータ波との海馬CA1領域の神経活動の因果関係、および圧受容器反射への海馬CA1領域の神経活動の関与を検討中である。
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