研究概要 |
セントラルコマンドは運動時の循環反応を説明する概念である。運動開始前には、心拍数および動脈圧が増加する。これらの循環反応は上位中枢由来(セントラルコマンド)と筋肉に由来する(運動昇圧反射)情報により生じると考えられている。しかし、セントラルコマンドについては研究が少なく、不明な点が多くありその実体は不明である。最近、ラットで、睡眠レム期に自発運動時の中枢神経活動が再生され記憶形成が行われていることが報告された(Louie and Wilson、Neuron, 2001)。一方、睡眠レム期に筋肉は完全に弛緩する。すなわち、夢をみる睡眠レム期は、無動状態で中枢神経活動のみが運動状態と同じに活性化されていることを示す。 本研究は、ラットを使い、海馬CA1領域の局所血流量および神経活動の計測をし、自発運動時と睡眠レム期の脳神経活動、交感神経活動および循環反応を比較することにより、セントラルコマンドの実体解明をみた。 次の3点について検討を行った。1.ラットを用い、海馬CAI領域の脳局所血流量および海馬CA1ニューロンの同時計測方法を検討した。2.自発運動時(セントラルコマンドと筋肉由来の反射の賦活)および睡眠レム期の海馬血流量の変化を比較検討し、海馬血流量の変化と循環動態との相互関係を検討した。3.ニコチンの静脈内投与により、中枢神経系を直接刺激し、海馬血流量、腎および腰部交感神経活動、循環動態との因果関係を検討。 以上、中枢性のトップダウン情報(セントラルコマンド)が交感神経活動および循環動態に及ぼす影響を検討した。睡眠レム期がセントラルコマンド研究の適切なモデルになる可能性が示唆された。
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