研究課題
基盤研究(C)
本研究では、ドコサヘキサエン酸(DHA)による神経幹細胞からニューロンへの分化誘導促進作用とその作用機序について検討を行った。<成果>1.神経幹細胞の単離と培養法の確立:ラット胎児脳(15.5日)から自己複製能と多分化能をあわせもつ神経幹細胞の単離法を確立した。2.成体ラット海馬領域での神経幹細胞計測法の確立:BrdU(分裂細胞マーカー)を腹腔内投与したラットの海馬スライス標本をNeuN(成熟ニューロンマーカー)で処置し、共焦点レーザー顕微鏡を用いて、ラット馬歯状回領域での神経幹細胞数の計測法を確立した。3.In vitroとin vivoの系でのDHAによる神経幹細胞の分化誘導促進作用(1)in vitroの系:神経幹細胞にDHAを添加すると、Tuj1(未成熟ニューロンマーカー)陽性細胞の割合と軸索伸長度が共に増加することを見出した。(2)in vivoの系:ラットの海馬歯状回領域のBrdU/NeuN二重染色陽性細胞数は、DHA投与により有意に増加することを見出した。4.神経幹細胞の分化誘導に関与する因子であるNeurogenin1のmRNA発現量は、DHA添加12時間後でコントロールと比較して約6倍増加した。一方、分化を抑制し増殖促進に関与する因子のHes1のmRNA発現量は、DHAの添加6時間後から有意に減少し、この状態は4日目まで持続した。Mash1とHes5にはDHA添加による変化は認められなかった。<結語>DHAは、神経幹細胞の増殖を促進するHes1の発現を抑制し、bHLH転写因子のバランスを変化させて神経幹細胞からニューロンへの分化誘導を促進させることが推察される。今後、分化促進に関与する別の因子や、ニューロンへの分化の指標になる遺伝子の発現量を測定し、DHAによる神経幹細胞からニューロンへの分化促進作用機序をより明確に解明する必要がある。
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