研究概要 |
1.視交叉上核包括的遺伝子発現データベースを利用した視交叉上核振動分子のin situ hybridizationによる入力制御遺云子の検討:DNA chipによって明らかになった視交叉上核で概日振動を持つ分子のうち、視交叉上核への光情報入力を制御すると思われる分子をコードする遺伝子について局在、日周変動を検討した。細胞内情報伝達系に関与するいくつかの遺伝子(RGS16,RGS2など)については視交叉上核に特異的に発現し、はっきりとした概日振動が認められた。これは、情報伝達系制御分子の発現が概日リズムを持つことによって、視交叉上核への入力を時間依存性に制御することを示唆する。 2.Per2遺伝子発現に至る細胞内情報伝達系の解明:分子レベルにおいては、Per1,Per2の夜間の光照射による誘導が、位相変位を引き起こす第一のステップと理解されている。血清刺激によって概日リズムを生じるRat-1細胞をモデルとして、Per2遺伝子の発現にいたる細胞内情報伝達系を解明した。Gq蛋白結合型受容体からIP3受容体を介した細胞内Ca2+の誘導によってPer2が誘導されることが明らかになった。 3.位相変異におけるPer1,Per2の使い分けについての検討:夜間の光照射後、Per1,Per2遺伝子が視交叉上核に誘導され、位相変位を生じる。これら2つの時計遺伝子が位相変位においてどのようにして使い分けられているのかを明らかにした。すなわち、位相前進が必要な際には朝の光でPer1のみが誘導され、位相後退が必要な際にはPer2がおもに夕刻の光で誘導され、Per1依存性、Per2依存性の位相変位が生じることが明らかになった。
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