研究課題/領域番号 |
17590215
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
鈴木 史子 福井大学, 医学部, 助手 (80291376)
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研究分担者 |
森島 繁 福井大学, 医学部, 講師 (50290911)
村松 郁延 福井大学, 医学部, 教授 (10111965)
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キーワード | アドレナリン受容体 / スナピン / 細胞内カルシウム / 受容体作動性カルシウムチャネル / PC12細胞 |
研究概要 |
我々はα_<1A>-アドレナリン受容体(以下、α_<1A>-受容体と略)の相互作用分子として、スナピンを同定した。スナピンは神経伝達物質の遊離に関与する分子として発見されたが、その機能は十分に解明されていない。 本研究において我々は、スナピンがα_<1A>-受容体により活性化されるカルシウムシグナルの調節分子であることを突き止めた。すなわち、α_<1A>-受容体とスナピンを共発現したPC12細胞では、α_<1A>-受容体刺激により惹起される細胞外からのカルシウム流入が増大し、その結果、細胞内のカルシウムが持続的に高濃度に維持されることを発見した。得られた具体的な結果は以下の通りである。 1.ラット脳におけるα_<1A>-受容体とスナピン間の直接的相互作用を免疫沈降法により証明した。 2.PC12細胞膜上(内側)に観察されるα_<1A>-受容体とスナピンの共存、および受容体刺激に伴う両者の局在の変化。 3.α_<1A>-受容体刺激により惹起される細胞内カルシウム上昇に対するスナピン共発現の影響(PC12細胞)。tonic phase(細胞外からのカルシウム流入)がスナピン共存下では著しく増大し、かつ持続した。 4.このようなカルシウム流入に関与するチャネルはSK&F96365,2-APBに感受性であった。 5.両者を共発現するPC12細胞においてスナピンをノックダウンすると、カルシウム流入の増大は消失した。 6.α_<1A>-受容体C末端のスナピン相互作用部位変異体の活性化では、カルシウム流入増大が抑制された。 7.PC12細胞において、このようなα_<1A>-受容体刺激による細胞内カルシウムの高濃度状態は、同時に惹起されるドパミン遊離量に直接的に影響した。 カルシウムイオンは生体において多様かつ重要な生理的機能を担っていることから、このようなスナピンによるカルシウムシグナルの調節には深い意義があると考え、さらに解明していく。
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