慢性房室ブロック犬心房細動モデルにおける組織学的・電気生理学的特性ならびにアミオダロンによる抗心房細動作用を評価した。カテーテルアブレーション法によりビーグル犬の房室結節を焼灼し、心室補充調律が30-40bpmの完全房室ブロック犬を作成した。完全房室ブロック作製4週以降にアミオダロンの単回静脈内投与(3mg/kg)(n=4)により急性作用を評価した。さらに、アミオダロンを4週間連日経口投与することにより(200mg/body 1週間→100mg/body 3週間)(n=5)慢性効果を評価した。心房拍動数、平均血圧、心房間伝導時間、心房有効不応期、心房細動誘発率、心房細動持続時間を評価した。心房細動は右心房を刺激間隔60ms、出力60Vで10秒間電気刺激することにより誘発し、刺激を各測定点で10回繰り返すことで誘発率、平均持続時間を計算した。慢性期の完全房室ブロック犬では、MRI像で高度な心房拡大と、血漿中ANP、アンジオテンシンIIおよびカテコールアミン濃度の上昇を認めた。薬物投与前の各指標の値は、心房拍動数161beats/min、平均血圧144mmHg、心房間伝導時間31ms(CL=400ms)、心房有効不応期133ms(CL=400ms)、心房細動誘発率0.9、心房細動持続時間7.2sであった。アミオダロンの静脈内投与で心房拍動数は減少したが、他の指標には有意な変化を認めなかった。一方、アミオダロンの慢性経口投与により平均血圧は減少、有効不応期は延長した。心房細動誘発率は0.5に減少し、心房細動持続時間は1/10以下に短縮した。アミオダロンの慢性投与は急性投与とは異なり心房細動に対して抑制的に作用することが証明された。
|