研究課題/領域番号 |
17590219
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
篠崎 一哉 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (20324577)
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研究分担者 |
岡村 富夫 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (70152337)
安屋敷 和秀 滋賀医科大学, 医学部, 助教授 (10167968)
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キーワード | インスリン抵抗性 / 血管内皮機能障害 / 一酸化窒素 / フィブラート / HMG-CoA還元酵素阻害薬 |
研究概要 |
インスリン抵抗性ラットの胸部大動脈を用い各種の検討を行ってきた。その結果、内皮プテリジン代謝異常に伴う内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)の活性調節異常がその一因であることを明らかにした。すなわち、血管内皮に対するインスリン作用の低下に伴い、活性型のeNOSの補酵素(テトラヒドロビオプテリン、BH_4)合成の律速酵素であるGTP-CH1活性および発現が著明に低下し、結果として組織BH_4含量が減少することがeNOSのアンカップリング(eNOS由来のO_2^-生成の増加とNO産生の低下)をもたらすことを報告した。高脂血症治療薬のフィブラート系薬剤(PPARαのリガンド)およびHMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)は、ともにeNOSを活性化することが培養血管内皮細胞を用いたin vitroの検討により明らかにされていることより、各薬剤がNO合成酵素およびプテリジン代謝に及ぼす影響について検討した。果糖誘発性インスリン抵抗性ラットおよび対照ラット(通常食投与)に対し、フェノフィブラート(PPARαの特異的なリガンド)およびピタバスタチン(スタチン)をそれぞれ2カ月間経口投与することにより、大動脈プテリジン代謝および各種関連遺伝子発現が変化しうるか否かを比較検討した。その結果、インスリン抵抗性ラットではeNOS活性が対照ラットの58%に低下していたが、両薬剤ともeNOS活性を有意に増加させた。インスリン抵抗性ラットではGTP-CH1活性の低下に伴いBH_4含量の低下を認めたが、ピタバスタチン投与によりそれぞれ有意に増加し、正常化した。一方、フェノフィブラート投与ではBH_4含量及びGTP-CH1活性は変化しなかった。以上の結果より、これら2つの高脂血症治療薬は異なる機序によりeNOSを活性化することが明らかになった。
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