研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、心不全時のアンジオテンシンAT1受容体及びβアドレナリン受容体との相互作用から生じる細泡内情報伝達機構を検討することである。本研究こより以下ような結果を得た。(1)C57BLマウスにIsoproterenol(ISO)を10日間持続皮下投与し、AT1受容体拮抗薬(ARB)を併用投与すると、心肥大進行は有意に抑制され、心筋の活性酸素産生量、過酸化脂質量の正常化を認めた。同様に、ATla受容体遺伝子欠失(ATlaα^<-/->)マウスにISO持続投与をしても心肥大はほとんど進行せず、組織酸化ストレスの増大も認めなかった。(3)SDラット及びC57BLマウスにISOをARB処置下で急牲静脈内投与すると左室MAPキナーゼの内p38とJNKのリン酸化体量はARBを作用させない場合と比べおよそ半減し、ERKは殆ど増加しなかった。AT1受容体の関与はATla^<-/->マウスを用いての検討でも再現された。(5)ラット心臓でのISOによるRaf/MEX/ERK系の各因子のリン酸化は、ARB処置下でほとんどコントロールレベルにまで抑制された。(6)Raf制御系small GTPaseの活性化について;ISOによって心筋Ras活性、Rap-1活性共に上昇し、ARB前処置でこのうちRas活性は有意に抑制されるが、Rap-1活性増強には影響を与えなかった。以上のことから、ISO処置下でのARBによるRaf/MEX/ERK系の抑制機構にはAT1受容体を介したRas-Raf刺激経路の他、βアドレナリン受容体を介したRap-1の活性化によるRafキナーゼの直接の抑制機構も含まれるのではないかと考えられる。従って交感神経の亢進した心不全状態では、ARBによる心肥大や心酸化ストレスの抑制が効果的に行われる可能性が示唆された。
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