研究概要 |
黒質線条体神経死のモデルとして、メタンフェタミンモデルを使用した。メタンフェタミン(10mg/kg, s.c.,2時間毎に4回)をラット(8週齢)に投与することにより黒質線条体路を50%以上破壊できるか否かを検討した。対象薬には生理食塩水(5ml/kg)を用いた。変成作用が一定しないためその原因を究明したところ、ケージあたりの匹数および実験室の温度に左右されることが分かった。今後の実験条件としてメタンフェタミン投与時のラットは個別のケージに入れ、室温を21±1℃に保つことが実験結果の再現性に重要であることがわかった。このモデルにおいて特異的α1B受容体拮抗薬が変性抑制作用を持つか否かを検討するため、まず陽性対照薬として非特異的α1受容体拮抗薬のプラゾシンの効果を形態学的方法により検証した。プラゾシンはメタンフェタミンの各投与前30分に皮下投与(0.5mg/kg)した。プラゾシンの対象薬には生理食塩水を用いた。メタンフェタミン最終投与から5日後に軽度エーテル麻酔下にて、ラット脳を灌流後、脳を摘出して固定し、線条体切片(4μm)を作成し、免疫組織染色(検出抗原:チロシン水酸化酵素)を行った。切片の写真をデジタル画像として撮り、NIHイメージにより定量化した。1群4-5匹として、生理食塩水投与+生理食塩水投与、プラゾシン+生理食塩水、生理食塩水投与+メタンフェタミン、プラゾシン+メタンフェタミンの4群につき比較した。この実験を3回行い、2回はメタンフェタミンによる神経変性に対してプラゾシンが抑制作用を示したが、1回はメタンフェタミンによる変性に検体間のばらつきが大きくなりわずかに有意差がなかった。
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