真菌から抽出したアレルゲン物質により感作したモルモットにおいて、クエン酸およびカプサイシンにより誘発される咳嗽数は、非感作群における誘発咳嗽数に比べ有意に増加しており、咳感受性の亢進が認められた。一方、ヒスタミンにより誘発される気道収縮反応には、感作および非感作群の間に有意な差はなく、アレルゲン感作による気道過敏性の亢進は認められなかった。また、アレルゲン感作群で認められたクエン酸誘発咳嗽数の増加は、抗ヒスタミン薬により非感作群の咳嗽数のレベルにまで抑制された。これらのことから、真菌から抽出したアレルゲン物質により感作したモルモットにおける咳感受性の亢進はヒトにおけるアトピー咳嗽における咳感受性亢進に対応するものと考えられる。 Anandamaideトランスポーター阻害薬であるVDM11は、用量依存性な鎮咳作用を示した。VDM11の鎮咳作用はカンナピノイドCB1受容体拮抗薬であるSR141716Aの腹腔内あるいは吸入前処置によって拮抗された。しかし、SR141716Aの脳室内投与では、VDM11の鎮咳作用に影響を与えなかった。10%DMSO(anandamaideの溶媒)をマウスに吸入させると3分間に7.7±0.6回の咳を誘発した。低用量(0.03mg/ml)のanandamaideの吸入によって誘発される咳の数は、10%DMSOのみを吸入させた際の咳に比べ減少した。一方、anandamaideの高用量(3mg/ml)によって誘発される咳の数は、10%DMSOのそれに比べ、有意に増大していた。選択的CB1受容体拮抗薬のAM251(1.8mM)を0.03mg/mlのアナンダミドの吸入前に処置すると、咳の数は10%DMSOのみを吸入させたマウスの咳嗽数と同じレベルにまで増加した。また、3mg/mlアナンダミドの吸入により増加した咳嗽数は選択的TRPV1受容体拮抗薬である、capsasepine(0.3mM)あるいはVDM11の前処置によって有意に抑制された。これらの結果はanandamaideがC線維を介した咳感受性の調節を行っていることを示唆しており、anandamaideトランスポータがその調節に重要な役割を果たしている可能性を示唆している。
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