研究概要 |
Corelβ1,3-ガラクトース転移酵素(ClGal-T)およびCore1β1,3-ガラクトース転移酵素特異的シャペロン(cosmc)遺伝子のC57BL/6J由来の組換えES細胞を作製、およびそれらに由来する個体を得ることに成功した。受精卵で発現するAyul-Creマウスと交配により、ヌルアレルをもつマウスを作製し、完全欠損マウスを作製した結果・ClGal-T完全欠損マウスは胎生致死であることがわかった。また、cosmc遺伝子は、X染色体上に存在するために、まずメスヘテロマウスを作製した。そして、そのメスcosmcヘテロマウスとC57BL/6Jオスマウスとの交配の結果、-/Yのオスマウスは、生まれてこなかった。以上のことから、ムチン型糖鎖は、正常な発生に重要な働きをしていることが明らかになった。現在、両遺伝子ノックアウトマウスともに胎生期のいつ発生異常に起こすかを現在スクリーニング中である。また、両遺伝子ノックアウトマウスの組織を使用して、レクチンプロットやレクチン、抗糖鎖抗体による免疫組織学的解析によってムチン型糖鎖抗原の消失を確認する予定である。さらに白血球におけるムチン型糖鎖の役割を解析するための血球細胞へ薬剤誘導可能なCreマウス、Mxl-Creとの交配中である。合成ペプチドによるClGal-Tに対するポリクローナル抗体の作製に成功した。この抗体で、膵臓を染色したところランゲルハンス氏島と胃粘膜上皮細胞のゴルジ体に陽性像が得られた。さらにインスリンプロモーターをもつinsulin-Creマウスと交配して、β細胞特異的なコンディショナルノックアウトマウスを作製した。このマウスを抗ClGal-T抗体で免疫組織学的解析をおこなったところ、β細胞特異的にClGal-Tの発現の消失が確認できた。
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