研究課題
基盤研究(C)
受精の初期過程には、糖鎖を介した両配偶子間の特異的な相互作用が働いている。これまでに、精子頭部には卵透明帯糖鎖を認識する複数の糖鎖認識分子が存在すること等を細胞化学的方法等で明らかにしてきた。先ず、ブタ精子の細胞膜を界面活性剤で可溶化し遠心上清を得、N-アセチルラクトサミン構造を有するプローブをELISAプレートに固相化したウェルに結合するタンパク質を解析した。更にアシアロα1-acid glycoproteinを結合させたビーズによる親和性カラムクロマトグラフィーを行ない、カラムに親和性を示すタンパク質の解析を行った。その結果、2種のタンパク質が候補分子として検出された。これら二種のタンパク質をトリプシンでin-gel消化し、ペプチドのアミノ酸配列をMS/MS法で解析した。得られた配列をヒト、マウスの配列情報に対してホモロジー検索をした結果、二種のタンパク質がともにADAM(a disintegrin and metalloprotease)ファミリータンパク質群に属するADAM4およびADAM5であることが判明した。そこで、ブタ精巣の遺伝子ライブラリーからPCR法で遺伝子のクローニングを行い、塩基配列を決定した。これらのタンパク質の組換体を精製してその活性を調べたところ、ADAM4はインテグリン(ラミニン受容体、フィブロネクチン受容体)に結合することが判明した。また、ADAM5はアシアロフェツインに結合するがアシアロ、アガラクトフェツインには結合しないという結果を得た。従って、この分子はN-アセチルラクトサミン構造を認識するものと示唆された。
すべて 2006
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Proc. Jpn. Acad., Ser.B 82
ページ: 181-187
Proc.Jpn.Acad., Ser.B. 80