研究概要 |
今回の研究は、雌性生殖器系におけるミッドカイン(MK)ファミリーの役割について、MK及びPTN(プレイオトロフィン)遺伝子ダブルノックアウトマウス(DKO)を用いて解析した。 1.卵巣及び子宮におけるMK,PTNの発現解析;野生型マウス生後1日、1、2、4、8週令の卵巣と子宮におけるMK,PTNの発現をquantitative real time PCR法で解析した。卵巣では、MKは1週令まで強く発現し、その後、発現は低下した。PTNは生後1日では強く発現していたが、その後、弱い発現となった。子宮では、両方とも生後1日では強く発現し、その後減少し8週令まで中程度の発現が続いた。In situ hybridization法により、その発現局在を解析した結果、両方共、卵胞上皮と顆粒層細胞および子宮内膜の上皮と腺に強い発現が見られた。 2.卵胞数の測定;4週令の野生型及びDKOの卵巣の全連続切片を作り、HE染色して1個の卵巣中の総卵胞数を測定した。DKOでは野生型に比べて、総卵巣数には差がなかったが、成熟卵胞の数は有意に減少していた。 3.性周期の判定;DKOの性周期を調べるために、DKO、野生型4匹ずつ、膣内のスメアテストにより判定した。その結果、DKOにも性周期は存在するが、野性型に比べて発情期が短いことが判明した。 4.交尾の確認;8週令のDKO,野性型4匹ずつで、plugの形成の有無を調べた結果、DKOは有意に形成が低かった。これは、PMS-hCG投与後の同居によっても変化はなかった。 5.排卵障害の検討;8週令のDKO,野性型6匹ずつにPMS-hCGを投与することによって、強制排卵誘発後、排卵状況を調べた。その結果、DKOは野生型に比べて、排卵数が有意に少なかった。 6.受精能の判定;in vitroで受精能について調べたところ、DKO,野生型共約20%で差は見られなかった。
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