ENUで変異を導入したメダカ6000個体の精子凍結は、予定通り平成17年3月に終了した。相当する染色体DNA抽出は平成17年6月中旬に終了した。TILLINGによる変異同定のために、9kgのセロリからミスマッチ切断酵素CELIを精製した。アイソトープラベルした人工オリゴを基質として各フラクションの活性を測定し、実験に十分量のCELIを得た。 TILLINGをセットアップするために、プラスミドDNA中の変異の検出という単純化した系で実験を行った。1kbの領域を蛍光プライマーで増幅後、野生型と変異型のヘテロデュプレックスを作らせ、CELIで消化、LICORによる電気泳動で切断パターンを確認した。その結果、目的の変異が検出できることを確認した。次に、ゲノム上の変異が検出可能かを検証するために、すでに配列のわかっているp53遺伝子座について実験を行った。その結果、野生型メダカに存在するSNPsがTILLING法で検出できることを確認した。 メダカのゲノムおよびESTデータベースよりメダカCHK1の部分配列を取得し、さらにRT-PCRを行ってcDNAの全長をクローニングした。その結果、メダカCHK1遺伝子は、約8.5kbの領域にわたって13のエキソンに分かれて存在し、454アミノ酸よりなる蛋白質をコードすることがわかった。ヒトCHK1とのidentityは62%、similarityは88%で、ことN末に存在するキナーゼドメインに関しては94%の高い相同性を示した。活性中心のアスパラギン酸はエキソン5にコードされていた。エキソン3-6はクラスターをなしており、850bpのPCR産物として増幅可能なため、この領域を解析領域と定めた。以降、変異メダカバンクのスクリーニングを進める。
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