研究課題
メダカのChk1遺伝子のエキソン3-6はキナーゼドメインをコードしており、849bpの領域に存在するため、単一のPCRで増幅、解析することが可能である。5'-TGGGTCTTTGAAATTGTCTGTTC-3'と5'-TGAGTCTTACTGAAAGGCATTGA-3'の二つのプライマーを用いてタッチダウンPCRを行った結果、特異的な増幅が得られることがわかった。これを後者のプライマーでダイレクトシークエンスすると、良好なシグナルが得られたので、この条件でChk1遺伝子座をスクリーニングした。変異導入メダカ1920個体をPCR増幅、シークエンスした後、phredPhrapでベースコールとアセンブリを行い、polyphredでヘテロ変異の検出を行った。その結果、高頻度に見いだされる一塩基多型(SNP)と思われるヘテロシグナルは、解析した領域内に3カ所見られた。それ以外に1回しか見いだされない変異が9つあり、これらはエチルニトロソウレア(ENU)によって導入された変異であると推測された。ENU変異の内訳は、イントロンの変異が6つ、アミノ酸置換を伴わないサイレントな変異が2つで、アミノ酸置換を伴う変異は64番目のヒスチジンがグルタミンに変わるもの唯一つしかなかった。また、ナンセンス変異、スプライス部位の変異、活性中心のアミノ酸置換といった、明らかにChk1キナーゼの活性を損なうような変異体は見つからなかった。この領域の変異導入頻度は、180kbに一つと推定された。これは低い数字ではないが、今回スクリーニングした領域はエキソンが比較的まばらに存在する部位で、コーディング領域が433bpと全体の半分しかなく、これがイントロンの変異が多く見られた理由であると考えられる。この対策として、もっと高密度に変異を導入したメダカライプラリーを作製する必要があると考えられる。
すべて 2006
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Genome Biol. 7
ページ: R116