研究概要 |
骨は骨形成と骨吸収のバランスの上に成り立っている.骨吸収は大型で多核の破骨細胞により行われている。われわれは以前に単核破骨細胞前駆体が融合して多核破骨細胞へと分化する際に必須の役割をしている7回膜貫通型受容体遺伝子DC-STAMPをサブトラクション法により単離した(Kukita et al., J.Exp.Med.200:941,2004).本研究ではオーファン受容体であるDC-STAMPの機能解明のために,破骨細胞へと分化するマウス細胞株を用いたリガンド探索を種々の方法で試みたが,まだリガンドは単離されていない.一方,ゼブラフィッシュのDC-STAMP遺伝子はまだドラフトゲノムやESTデータベースには存在せず,ノックダウン実験を行うことは出来ないが,DC-STAMPの一部と相同性を有する遺伝子が存在することがデータベース検索で明らかとなった.このDC-STAMPモティフを有する遺伝子がゼブラフィッシュには3個存在しているが,EST情報だけであったので,それらのcDNAを単離し,解析した.これらはいずれも膜貫通領域を複数もち,DC-STAMPと同様に細胞融合に関与していると考えられた.これらの我々が単離したクローンとのオーソログ関係ははっきりしないが,線虫やドロソフィラでやはりDC-STAMPモティフを有するcDNAがそれぞれ1個ずつ単離され,精子と卵の膜融合に関与することが示唆されている.従って,ゼブラフィッシュの3個の遺伝子をさらに解析すれば,膜融合に関する新たな知見が得られるものと考える.
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