Sept9の機能を解析する目的で、その結合蛋白質を酵母Two-hybrid法で探索したところ、新規蛋白質を同定出来た。この分子はRhoの特異的な活性化因子であることが判明したのでSA(Septin-associated)-RhoGEFと命名した。Sept9を含む細胞内セプチン繊維はSA-RhoGEFに対してスカフォールドの機能を有し、そのRho活性化能を抑止していることが示唆された。さらに、セプチンがSA-RhoGEFを通じてRhoの活性を負に調節することを報告した。次に、種々のRho標的蛋白質をスクリーニングした結果、Rhotekinがin vivoでセプチン繊維の崩壊を引き起こすことを見出した。私共は、セプチンの構造がRho/Rhotekinシグナルによって制御されていることから、Rhotekinとセプチンの相互連関を分子レベルで解明するためにRhotekin結合蛋白質の同定を行った。その結果、PIST1、Lin7、Vinexin、MUPP1、ArgBP2、Ponsin、MAGI-1などの、上皮細胞の極性決定・維持に必須のマルチドメイン蛋白質群が同定された。私共は、同定された分子群の性状・機能解析をすすめ、RhotekinとPISTはin vitroとin vivoで複合体を形成し、細胞の極性形成に伴って細胞間接着領域に濃縮することを見出した。さらに、Lin-7とRhotekinは神経組織で相互作用しており、その結合はRhoシグナル経路を活性化することにより促進される可能性を提示した。一方、細胞接着・細胞骨格制御に関与するアダプター蛋白質であるvinexinが、神経細胞の核や細胞質と共にシナプスにも存在することを示すと共に、免疫電子顕微鏡解析で、vinexinが前・後両シナプスに局在することを確認した。更にリン酸化vinexinを特異的に認識する抗体を作成して、MAPキナーゼによるリン酸化の意義を解析した。
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