研究課題/領域番号 |
17590268
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
岡 千緒 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助手 (30263445)
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研究分担者 |
川市 正史 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (00195041)
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キーワード | HtrA1セリンプロテアーゼ / コラーゲン / TGF-β / GFG / 肥大化軟骨 |
研究概要 |
1.HtrA1ノックアウトマウスの解析 HtrA1ノックアウトマウスは正常に発生し目立った異常は認められない。しかし、骨の発生過程を詳細に調べると成長板軟骨細胞の配列の乱れが認められた。この異常をより詳細に調べるために、胎生18日目、生後1日目、15日目、1ヶ月、2ヶ月、6ヶ月の頚骨を採取し非脱灰標本を作製し解析を行った。 (1)ノックアウトマウスでは成長板軟骨において肥大軟骨層、特に前肥大軟骨層の厚みが野生型に比べて厚くなっていることがわかり軟骨の肥大化が遅延していることが示唆された。またX型、およびII型コラーゲンによる免疫染色の結果、前肥大軟骨細胞におけるコラーゲンの沈着がノックアウトマウスでは減少していた。 (2)骨組織標本で認められた異常をより詳細に検討する目的で、長期間初代培養系における軟骨細胞分化を検討した。この系において、軟骨細胞への分化、石灰化を野生型マウスとノックアウトマウスで比較したところ、ノックアウトマウスでは初期の軟骨分化が遅れるものの石灰化には差異が無いことが明らかとなった。しかし、得られた軟骨分化細胞を組織学的に解析したところ、骨標本において見られた軟骨分化の肥大化の抑制、およびコラーゲンの沈着の減少が認められた。さらに、軟骨分化時に未分化な状態で留まる細胞層の減少が認められた。 ノックアウトマウスの骨標本および培養系で認められた異常は軟骨細胞の肥大化を抑制する活性を持つTGF-βシグナルが昂進したことによる可能性が考えられる。今後培養系においてより定量化した結果を出すとともにTGF-βシグナル活性の測定を行う。 2.HtrAを調節するシグナル系の解析 HtrA1の発現上昇と加齢性黄斑変性の関係が示唆されており、HtrAの発現制御の解明は非常に重要である。マウスおよびニワトリ胚においてHtrAは非常に特徴的な発現様式を示すことを明らかにした。これらの発現を制御している因子を明らかにするために胚操作が容易なニワトリ胚において解析を行った。その結果、ニワトリの繊維芽細胞およびニワトリ胚へのビーズの移植実験から、ニワトリのHtrA1(cHtrA1)はFGF-2により誘導されることが明らかとなった。今後はcHtrA1のプロモーター領域を単離しマウス、ヒトの配列と比較しながら、HtrA1の発現の制御に重要なプロモーター領域を決定していく。
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