研究概要 |
ユビキチン化によるタンパク質修飾は様々な生物学的役割をもっており近年、その欠失が癌の発生進展に関わっていることが明らかにされている。本研究において肺癌抑制遺伝子産物TSLCおよびNotch ligandの細胞内領域をユビキチン化する連結酵素、skeletrophinの生理学的役割およびそれの異常発現メカニズムと引き続いておこる癌進行への役割を検討した。 具体的にはskeletrophinがRING-HC motifに依存するE3酵素であることを明らかにし、mind bombと名付けられたE3酵素と類似構造をもつことを見い出し互いにparalogueの関係にあることを報告した(Takeuchi et al.Am J Pathol.2005 166:1817-1820;DNA and Cell Biology 2005, 24, 339-344)。また多発性骨髄腫でskeletrophinが過剰発現しligand-dependent Nocth activationを引き起こしHes1遺伝子を活性化し間質細胞との相互作用を通してIL-6分泌を高め腫瘍進行をもたらしていることを明らかにした。また。TSLC1の細胞内ドメインのうちFERM binding domainに結合能力があることを見い出した。Skeletrophinはいずれの細胞内領域ドメインもポリユビキチンではなくモノユビキチン化を起こすことを明らかにした。現在、基質(標的分子)の細胞内領域の切り離し、および細胞内取込みが情報伝達系に関わっているかについて検討している。
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