ユビキチン化によるタンパク質修飾は様々な生物学的役割をもっており欠失や機能不全が癌の発生進展に関わっている。我々は膜タンパク質の細胞内領域をモノユビキチン化することで情報伝達に関与しているE3酵素、skeletrophin(Mib-2)を検討している。 本研究においては肺癌抑制遺伝子産物TSLC1およびNotch ligandの細胞内領域をユビキチン化する連結酵素、skeletrophinの生理学的役割およびそれの異常発現メカニズムと引き続いておこる癌進行への役割を引き続いて検討した。 Notch lignadsの細胞内領域をモノユビキチン化するE3酵素には現在まで3種類のE3、skeletrophin(mib-2)、mind bomb-1 homologue(mib-1)、およびnueralized(neu)が知られている。Notch ligandsにはDLL-1、3、4、Jagged-1、2の5種類があるが、skeletrophinはJagged-2に親和性が高く、ついでDLL-3をモノユビキチン化することを見い出し、またTSLC1のモノユビキチン化にはskeletrophinのみが関与すること、ストレス化(具体的にはリン酸化)により修飾を受けたTSLC1のみがモノユビキチン化することを見い出した。 癌細胞、特に肺癌ではTSLC1の欠損、発現および機能不全が発ガンメカニズムおよび進行メカニズムに関与していることが明らかになっており当該知見は、修飾TSLC1の機能不全にskeletrphinが関与していることを示唆していると思われる。
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