研究課題/領域番号 |
17590273
|
研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
安達 正晃 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (70240926)
|
研究分担者 |
林 敏昭 札幌医科大学, 医学部, 助手 (30381271)
今井 浩三 札幌医科大学, 学長 (60117603)
|
キーワード | アポトーシス / 放射線 / DNA障害 / DNA修復 / ヒストンアセチル化 / ヒストンリン酸化 |
研究概要 |
1.siRNAを用いたノックダウンによる効果 ヒストンアセチル化後(HDAC阻害剤FK228またはCBHA添加後。さらに、ヒストンアセチル化酵素CBPまたはp300の遺伝子導入後の過剰発現後)、アポトーシス誘導能をもつBH3-only蛋白であるBimやBmfが誘導されたことから、各々のmRNAをターゲットとするsiRNAによってノックダウンさせ、それがHDAC阻害剤自身によるアポトーシス誘導能に極めて重要であることを証明した(Cell Death Diff 2006;Int J Radiat Oncol 2006)。 2.動物実験による検証 各種低分子化合物の活性酸素レベル上昇能を網羅的に調べた結果、methoxy-E2が強い活性酸素誘導作用を有し、この前処置によって放射線照射後のDNA障害が増加すること、さらにヌードマウスを用い、生体内においても治療効果を発揮しうることを明らかにした(Clinical Cancer Res 2006)。このことから、酸化ストレス誘導物質は、放射線治療効果の促進剤として、実用化の可能性が示された。 3.パートナーの同定 申請者らは、ヒストンアセチル化過剰によりアポトーシスが惹起されることを明らかにしているが、その機序は不明な点が多かった。本研究において、アセチル化亢進後に生じるBimやBmfの発現亢進の機序解析の結果、JNK活性化のみならず、これらの蛋白に特異的に結合するたんぱく質の変化を見出した。アセチル化に伴う分子会合の変化は、BAXとKu70との間で既に知られているが、それとは異なる現象であり、この意義に注目している。現在、このパートナー分子の生物学的意義について詳細な解析を加えて発表する予定である。
|