研究概要 |
分子量1,000以下のハプテン抗原をamolレベルで検出する新規の超高感度免疫測定法「ヘテロキャプチャー・サンドイッチEIA」を開発し、内分泌撹乱物質をはじめ、低分子物質の高感度検出を可能とする。そのため、ファージディスプレイ法を用い、低分子抗原と第一抗体の複合体に対する第二抗体を調製し、この2種類の抗体による超高感度非競合法を確立し、生体に微量に含まれるこれらの低分子抗原の直接の測定を可能とする。 内分泌撹乱物質の生体内での影響を解析するために申請者らは、たんばく質分解機構への影響を検討することにした。そこで、モデルハプテンとして、E-64cを用いることとした。このE-64cは、カルパインやカテプシンに特異的なチオールプロテアーゼ阻害剤で、in vivoでリソゾーム中のカテプシンBを強く阻害する。そのため、細胞内分解機構の解明に良く用いられているが、その代謝機構は明らかではない。また、ハプテン-抗体結合部に対する特異第二抗体を「ファージディスプレイ法」により調製するためには、第一抗体は、モノクローナル抗体でなければならない。そこで、まず、E-64cのモノクローナル抗体を調製することにした。E-64cのエポキシ部に結合するカルパインの活性ペプチドを合成し、E-64c-ペプチド反応物を調製した。この複合体をカルボジイミド法によりKLHに結合させ、マウスに免疫し、モノクローナル抗体を作成している。これと平行して、2種類の標識抗体を用いた場合の立体障害を回避するために、抗複合体特異scFvと第一抗体抗原認識部位から最も物理的に遠いFabのC末端部に導入したシステインのSH基を用いるための、種々の標識体や酵素の標識法の検討や選別を行った。その結果、代謝回転率や分子量からリコンビナント・アルカリフォスファターゼを用い、マレイミド-ヒンジ法が適していることが分かった。
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