研究課題/領域番号 |
17590283
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研究機関 | 国立がんセンター(研究所及び東病院臨床開発センター) |
研究代表者 |
塚田 俊彦 国立がんセンター(研究所及び東病院臨床開発センター), 腫瘍内分泌プロジェクト, プロジェクトリーダー (10300948)
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研究分担者 |
大倉 永也 国立がんセンター(研究所及び東病院臨床開発センター), 腫瘍内分泌プロジェクト, 主任研究官 (20300949)
矢口 浩子 国立がんセンター(研究所及び東病院臨床開発センター), 腫瘍内分泌プロジェクト, 研究員 (60373403)
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キーワード | MEN1 / メニン / 内分泌細胞 / 多内分泌腺腫瘍症1型 / ランゲルハンス島 / 副甲状腺 / TGF-β / 遺伝子 |
研究概要 |
1)多内分泌腺腫瘍症1型の原因遺伝子MEN1の遺伝子産物メニンが内分泌細胞の増殖調節に関わる機構を解明することを目的として、ラット膵ランゲルハンス島腫瘍細胞Rin-mにFlagタグ付加メニンを発現するpIREShyg3べ一スのプラスミドを導入し、タグ付きメニン発現細胞を単離した。タグ付きメニンを抗Flag抗体で免疫沈降させ、メニンと共沈するタンパクをSDS-PAGEにより分離・抽出した。これを質量分析により解析することにより、共沈タンパクを同定した。そのうちのひとつは、RIKENcDNAとして登録されているものであることが判明した。このタンパクとメニンの結合を哺乳動物細胞内two-hybrid法により検討した結果、弱いながらも有意な結合が認められた。抗Flag抗体による免疫組織化学染色により、その細胞内局在を解析すると、核近傍で点状に存在することが判明した。 2)メニン分子のGTPase活性に必須の領域を決定するために、Puresystem (R)により合成したメニンのGTP活性の検出を試みたが、活性は認められなかった。本システムで合成したタンパクは生物学的活性をもつために翻訳後修飾を必要とする可能性がある。 3)多内分泌腺腫瘍症1型の症例から手術で切除した副甲状腺腫瘍細胞を用いて、腫瘍細胞増殖に対するTGF一βの作用を検討した。この腫瘍細胞では正常メニンが欠損していることがMEN1遺伝子のヘテロ接合性の消失および抗メニン抗体を用いた免疫組織化学染色により示唆された。この腫瘍細胞では、正常副甲状腺細胞に見られるTGF-βによる増殖抑制および副甲状腺ホルモン分泌抑制が認められなかった。以上の結果より、メニンがTGF-βによる増殖抑制作用を仲介していることが示唆された。
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