研究課題
基盤研究(C)
遺伝子量依存的な遺伝子の異常に基づく疾患の分子基盤を明らかにし治療法の手掛かりを得ることを目的として研究を行い以下の成果を得た。PLP1重複によるPelizaeus-Merzbacher病(PMD)6例およびPLP1欠失によるPMD1例についてゲノム構造変化を塩基レベルまで明らかにした。重複領域の大きさや切断点は家系ごとに異なり、PLP1遺伝子だけでなく複数の遺伝子を含む0.3-1Mbにおよぶ大きなゲノム領域がhead-to-tailで重複していることが明らかになった。近位あるいは遠位の切断点のいずれかはAluまたはL1反復配列内に存在し、AT-richな配列が多く見られた。PLP1欠失例では欠失領域は重複と比較して小さく近位の切断点はLTR内に、また遠位の切断点はL1反復配列内に存在していた。PLP1遺伝子の遠位部にはX-染色体特異的なlow-copy repeat(LCR)の密集した領域が存在していたが、近位部には見られなかった。以上よりPLP1の重複・欠失は他のゲノムの重複あるいは欠失でよく見られるLCRを介した相同組換えとは異なっておりゲノム構造変化のメカニズムの多様性が示唆された。次にPLP1のエピジェネティックな発現制御の観点からPMDの新たな病因を探る目的で、PLP1の5'上流域におけるDNAメチル化状態を調べ、不活性化X染色体の指標となりうるCpGサイトを見出した。また将来の治療を見据えて、時空間的制御が可能な人工microRNA前駆体(AMPM)による発現抑制系を開発した。AMPMは標的遺伝子の発現を強力に抑制したことから個体レベルへの応用が期待された。さらにITPR1のハプロ不全による脊髄小脳失調症16型(SCA16)を見出し、ITPR1を新たな遺伝子量依存的遺伝子として位置付けた。
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ページ: 32-35
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