研究概要 |
<多様なミニ染色体ベクターの作製> ミニ染色体上の部位(テロメア側、セントロメア内、中間領域)における遺伝子発現の影響および染色体の安定性を検討するため、それぞれの領域にゲノム遺伝子(BAC)を導入できるミニ染色体を個別に作製した。ミニ染色体の改変は、DT40細胞内で行った。 1)ミニ染色体改変用プラスミドベクターの構築 ミニ染色体へのBAC導入はCre/変異lox系を利用しているが、ヒトX染色体由来ミニ染色体(IaA1)へ、相同組換えにより変異型lox71を導入するためのプラスミドベクターを作製した。変異型lox71挿入用ベクターは、以前より使用しているblasticidinR発現カセット(CAG lox71bsr)にセントロメア配列(アルフォイドX配列)、またはZXDA遺伝子上流非アルフォイド配列を相同部分として組込み、作製した。また、ミニ染色体へ導入するBACはneoR遺伝子を含んでいるので、ミニ染色体テロメア側の薬剤耐性遺伝子をneoR遺伝子以外(ZeocinR遺伝子)へ変更するためのtelomere targeting vectorも新たに作製した。 2)ミニ染色体の改変 上記相同組換え用ベクターを用い、ミニ染色体の各部位へCAG lox71bsrをそれぞれ挿入した改変ミニ染色体を作製した。同時に、テロメア側(短腕側)をtelomere targeting vectorを用いてZeocinR遺伝子へ変更した。 3)改変ミニ染色体へのBAC導入 上記改変ミニ染色体へ、遺伝子発現ユニットをもつBAC(HPRT-66,F9-66)をCre/変異lox系を用いて導入した。導入効率は、約70%であった。PCR, FISH, PFGEにて完全かつ正確な導入を確認した。 <BAC導入ミニ染色体における遺伝子発現と安定性> HPRT遺伝子は、いずれのミニ染色体においても発現が認められた(RT-PCR)。定量PCR(real time PCR)による発現比較、長期培養による発現変化の有無、染色体安定性の検討を行う予定である。
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