研究概要 |
1.Western blotをもちいたシグナル伝達の解析 28例の肺癌組織を用いて、EGFRの下流に存在すると考えられる信号伝達系transcription 3(Stat3),Akt,及びextracellular signal-related protein kinase 1/2(Erk1/2)の活性化を検討した。遺伝子増幅の見られた5例ではEGFR蛋白のリン酸化率は高く、前例でStat3のリン酸化がみられた。EGFRのチロシンキナーゼ領域に点突然変異の合った5例中(1例は遺伝子増幅を伴う)4例では、蛋白の発現は軽度増加であったがリン酸化率は最も高く、Aktの活性化を伴っていた。残りの19例では、9例に過剰発現、4例にリン酸化がみられたが、Stat3,Akt,Erk1/2のいずれとも密接な関係がみられなかった。 2.リン酸化特異抗体を用いたImmunohistochemistry フオルマリン固定組織を用いたimmunohistochemistryではリン酸化の検出であった。細胞株A431(EGFR増幅細胞株)にEGFを投与し、p-EGFRを発現させ、リン酸化特異的抗体が認識できる各種固定法を検索している。 3.新鮮癌組織の収集 大腸癌109症例、胃癌71症例の新鮮組織の収集を終えた。従来どうり免疫染色によるスクリーニングで、c-erbB-2の過剰発現が2例と8例、EGFの過剰発現が17例と16例であった。FISH法をもちいた遺伝子増幅の検索とWestern blotの準備中である。
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